他山の石から⑧ 運用について

他山の石

 ライフイベント表やキャッシュフロー表を作成してはどうかと書いた。その表をベースにして資産を増やすことを考えた場合、収入を増やす、支出を減らす、運用をする等さまざまな方法が考えられる。その中で運用について考えてみる。

どのような運用方法が良いだろう

 初心者によく薦められている本「敗者のゲーム」(チャールズ・エリス著)の中で、自分にあった投資ポートフォリオ(金融商品や資産の組合せ)をつくろうという言葉がある。それを考える上での要素として、「年齢、資産規模、収入、時間軸、(以下省略)」があげられている。また投資で成功するために、適切な運用基本方針を定め、適切な商品を選び軽々しく変更しない等が述べられている。こうした点を踏まえると、進め方には共通項がある一方で、どのような投資が良いのかは人それぞれといえることになる。
 ところで「適切な運用基本方針」とは、どのようなものか。どう作成し、どのような商品を選ぶのか。本書を一読してみることは、これから投資しようとしている人や既に投資している人にとても役に立つだろう。ここでは、こうした投資の本を読んではいないものの、投資で資産形成できた知人の例を記載する。

投資で成功した知人

  • 目的は老後資産の形成
  • 運用方法は、企業型確定拠出年金あるいはiDeCo(個人型年金)
  • 商品は個別株ではなく、投資信託の積立。上記運用方法の場合、個別株を選べず、必然的に投資信託積立になる。
  • アクティブ型もあるが、どちらかと言えばインデックス型を選択していた。(*1)
  • 投資信託の対象は海外株式のみであったり、海外及び日本の株式や債券を組合せるものであったり、共通するのは元本保証の定期預金ではなかった。

 *1 インデックス型は特定の指数(例えばTOPIX等)に連動するように運用する。アクティブ型は、ファンドマネージャーがそうした指数を上回るように運用する。

この方法が成功を保証するわけではない。今後がどうなるかもわからない。しかし、よく言われている「長期、積立、分散」に沿った運用をしていたことは、王道だったのだろう。積立額もリスク許容度(値下がりに対して、受け入れられる範囲)内で、値動きが大きなリスク資産への投資を続けることができた。同時に生活資金等元本を減らしたくない資産は別に確保しているので安心感も得ていた。リーマンショック等大きく価格が下落した際、引き出しができない制約状況は積立の継続となり、結果として市場水準で収益をあげることができた。

昨年から新NISAも始まり資産形成・運用はさまざまな選択肢がある。そうした中で、運用目的を明確にし、リスクをどれ程とることができるのかを把握するといった作業は共通に必要だろう。それは自分を知ることとも言える。「自分の状況や目的を掘り下げて理解することが、運用方針を決める上での重要な基礎となる。」と「敗者のゲーム」にもある。何をしたいか考える過程でライフイベント表ができ、今後の資産がどうなるかを考える時にはキャッシュフロー表が役に立つ。キャッシュフロー表の前段階で、現状がどうなっているのか(収入、支出、資産と負債の状況)を確認することも大切だ。資産運用で悩むことがある場合、どうするかを考える前に今どのうような状況なのか確認してはどうだろう。

注意:自らの経験から記載しています。投資を薦めるものではありません。投資は自己責任でお願いします。

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