他山の石から⑩ 相場の変動と投資家

他山の石

 今年に入り、日経平均株価は高値を更新してきた。しかし、米国のイラン軍事作戦等もあり今年一番の下げも。長期・積立・分散とリバランスを行っている人なら、特に問題はないだろう。基本にそっていない人はともかく、基本どおりの人にとっても落ち着かないことはあるかもしれない。著名投資家ウオーレン・バフェットの師匠でもあるベンジャミン・グレアムの「賢明なる投資家」(パンローリング刊)の第8章「相場の変動と投資家のポートフォリオ」は、参考になるかもしれない。

複雑な心理的な問題

 グレアムは、株価の「変動幅が大きく長期にわたる場合」「心理的な問題」はより複雑になるとしている。どういくことか。「慎重な思考を促す動機」ともなるが「軽率な行動へと投資家を導く誘惑の魔の手にもなりえる」と。既に経験している自分にはよく理解できる。
 株価が上がりすぎた場合は、その反応について3つの例が挙げられている。「売却を考えた方が良いか」、「株価水準が低かったときにもっと株を買っておかなかったことで、自分を責めるべきなのか?」、「強気相場の空気に飲まれ(略)大きく危険な売買をすべきなのだろうか?」と。最後の問いかけに対してノーなのは自明と述べ、「懸命なる投資家でさえも、群衆に同調しないためにはかなりの自制力が必要」と述べている。
 この本の初版は1949年。株式に投資する人にとって心理的な問題は、今も昔も変わらないのだなと思う。

対応策

 グレアムは「計算上の利益と損失を考えるより、むしろ投資家のポートフォリオにおける債券と株式の比率を機械的ともいえる形で決める方法をわれわれは好む」とし、その理由として「人間の本質を考慮して」と述べている。「株式相場があがれば、(略)一部を売却してその資金で債券を購入し、下がればその逆のことをする」と。さらに「こうした行動によって、投資家のエネルギーが鬱積するのを防ぐことができる」とも。

投資にあたって

 グレアムのアドバイスは、裏を返すと株式に投資する者は株価変動で心理的な葛藤を持つことを述べている。投資をしたことがある人なら、上記の心理的な反応を経験しているだろう。自分のことを述べれば、全て経験している(もちろんその結果はよくない)。そうした失敗を避けるために今風に言えば、長期・積立・分散とリバランスに注力すること、そのベースとなるライフデザイン・プランを作ることが大切となる。そしてグレアムは本書のまえがきで哲学者サンタヤーナの言葉も記載している。「過去を忘れた者は同じことを繰り返す」。

注意:自らの経験から記載しています。投資を薦めるものではありません。投資は自己責任でお願いします。

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