とりとめない話⑰ 見ざる聞かざる? 

とりとめない話

 株価は4月の下落から反転、S&P500は最高値を更新。日経平均も4万円台を一時つけたとニュースが報じている。

思い出した物語

 トロイヤ戦争で、ギリシャ軍英雄の一人オデュッセウス。セイレンのいる海を無事に航海するために、部下たちの耳を塞いだ。透きとおるような声で歌い、人の心を魅惑するその声は、抗いがたく、聞いたものはセイレンに魅かれ身を滅ぼす。自らは美しい声を聞くため、部下に自身を帆柱に縛りつけさせた。
 映画インディ・ジョーンズの一作目。失われたアーク《聖櫃》がナチスの手に渡り、箱を開けると、恐ろしい力が現れその場にいた将校は身を亡ぼす。同じ場所にいた主人公インディは目をつぶることでその難から逃れた。

きっかけ

 投資の名著、「敗者のゲーム」(チャールズ・エリス著)を最近読み返した。示唆に富む言葉がたくさんあり、基本から逸脱していることを気づかせてくれる。その第5章「ミスターマーケット(略)」を読んで、オデュッセウスとインディ・ジョーンズを思い出した。
 この章で、「ミスターマーケットは投資家を翻弄する。予想外の収益や配当(略)などをちらつかせ投資家の気を引こうとする。」「市場という『期待が期待を呼ぶ』(略)環境で理性を保つこと容易ではない。」と述べている。自分が誘惑に負けたことについては「他山の石①~③」で記載した。

誘惑に負けないために

 身を滅ぼさないためにどうしたらよいのか。オディッセウスは、キルケ(女神)から事前に自身がセイレンの海に向かうことを知らされていた。インディは、どうして目をつぶる対策をとったのか映画で示してはいないが、考古学者としての知識・知恵だろうか。危機を乗り越えるために、必要なことは何か。猿になること(見ざる聞かざる)?それも一つの方法だけど、魅惑されるリスクやその対処方法を事前に知り、また日頃の学習、鍛錬で対応力を身に着けておくことは大切だ。君子であれば、危うきに近寄らないから問題ない。しかし君子でないなら、日頃から対策をとることは必要だろう。「敗者のゲーム」では、魅惑的な投資環境でどう身を守るかの対策を記している。学び、それを忘れないことは更に大切。と自分に言い聞かせて読んでいる。

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